Report no.9 / 対話型ワークショップ「エシカルな生き方、働き方ってどんなもの?」

エシカルに生きる女性たちの「生の声」
Report no.9 / 対話型ワークショップ「エシカルな生き方、働き方ってどんなもの?」
ゲスト:生駒芳子(ファッションジャーナリスト)、岡田有加(INHEELS)、岡村貴子(オーガニックコンシェルジュ)、鈴木史(ピープル・ツリー)、竹村伊央(EFJ)、山口真奈美(コントロールユニオンジャパン)<五十音順>
ファシリテーター:谷口西欧(スペースポート)

 生き方や働き方を通じてエシカルを実践するゲストのお話を聞きながら、参加者が「自分なりのエシカル」を見つけることがテーマのこのシンポジウム。エシカルファッションの最前線で活躍する女性6人の話が聞けるとあって、立ち見が出るほどの盛況ぶり。ファシリテーターの谷口西欧さんから、「エシカル」にはフェアトレード、オーガニックなど様々な視点があるけれど、このシンポジウムを通して頭ではなく心で「エシカル」を感じてほしいと説明がありました(PHOTO1)

 ゲストが全員登場したところで、「もし友人に“エシカルって何?”と聞かれたらどう答えますか?」という問いが投げかけられます。ファッションスタイリスト兼EFJ代表の竹村伊央さんの回答は「商品が持つストーリーや、生産の裏側が見えること」。エシカルファッションブランドINHEELSの共同代表・岡田有加さんは「持続可能なこと。30年後、40年後も続けるためにどうするかを考えることがエシカルかな」と答えました(PHOTO2)。オーガニックコンシェルジュとして活躍し、現在は東京と熊本県・西原村の2拠点に暮らす岡村貴子さんは、自身が身につけたエシカルジュエリーブランド・HASUNAのイヤリングを指して「自分が一番好きなエシカルアイテムを身につけて“それ素敵!”と興味を持ってもらうキッカケができた時こそチャンス。どんなストーリーがあるかを伝え、エシカルに共感してもらうよう努めています」と自身の具体的な行動に触れました。エシカルファッションカレッジ理事長・生駒芳子さんは、本イベントにて上映されていた、人間主義から地球主義への価値変換を唱える思想家の姿を追った映画『ヴァンダナ・シヴァのいのちの種を抱きしめて』に刺激を受けたと述べ、「エシカルとは“地球への愛”ですね!今まで、ものの持つ背景が見えない時代が長く続きました。しかしそこにあるストーリーが見え始めると人の意識はがらっと変わります。そこから、人も地球もハッピーになる、愛のある道を探すべきだと思います」と熱っぽくコメント(PHOTO3)。ゲストそれぞれが、「エシカル」のどんな部分にシンパシーを感じているのかが次々に語られました。

 次の質問は、「ふだんどんな仕事をして、何にワクワクしている?」というもの。コントロールユニオンジャパン代表の山口真奈美さんは「大企業のちょっとしたシフトが社会や環境に与えるインパクトってやっぱり大きい。大企業というのは非常に男性社会ですが(笑)、そんな方々が環境配慮への意識に目覚めていく瞬間に立ち会うのは、やはりとてもワクワクします」と答えます。また2人の子どものお母さんである山口さんは、子どもたちが安心して暮らせる社会を維持することも大きなモチベーションだとも。ピープル・ツリーの鈴木史さんは「フェアトレードの現場では、途上国の作り手のために!とスタッフが裏方で頑張りすぎることがあります。でも、スタッフが自分自身の生活も楽しむ余裕を持つことが、持続可能な働き方としてとても大事。残業を減らす工夫をして、それぞれのプライベートを充実させるよう社内に働きかけたところ、生産性が上がり売り上げが伸びた。結果、作り手のためにもなっています。自己犠牲的でないと頑張りが足りないと思うのではなく、発想の切り替えによって、ハッピーの連鎖が生まれていくことにワクワクし、喜びを感じます」。また、伝統工芸の発信プロジェクト“WAO”を手掛ける生駒さんは「伝統工芸、つまり国内のフェアトレードは宝の山です。8月には谷中に小さなショップをオープンさせるのが今いちばんワクワクすること」と回答。ものを作るスピードは速くなっても、人間はそのスピードについていけていない。だからこそ手仕事というものづくりの原点に返ることが必要だと、自身の思いを語ります。他にも「“勉強する”より“感じる”こと。人の意見ではなく、自分が本当にやりたいことは何かを考えることが大切」(竹村さん)など、さまざまなエシカルな考え方へのヒントが飛び出しました(PHOTO4)

 ゲスト6人のトークのあとは、段ボール製の大きな円、「えんたくん」を参加者が4人で囲み、お互いが感じたことや話しあったことを自由に書きとめていきます(PHOTO5)。シンポジウムのラストは、参加者の発表の時間。「持続可能な働き方って難しい。でも実践するためにはとにかく話し合いをしないと。その過程で見えてくることや練られてくる手法があると思う」、「協力すること、楽しく過ごすこともエシカルな生き方、働き方なのかも」などなど、意見もさまざまです(PHOTO6)。各々が得た答えや想いを書き出した「えんたくん」は、翌日会場の壁に貼り出され「エシカルな生き方、働き方展」として展示されました。参加者一人ひとりが何を得たのかを表現することも、このシンポジウムの大事な要素。ゲストだけではなく、参加者もまたこのシンポジウムの主役なのです。翌日は多くの来場者がこの展示の前で足を止めていました。

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PARTICIPANT COMMENTS

公平歩美さん、鈴木由佳子さん

公平歩美さん(豊島区、会社員)、鈴木由佳子さん(神奈川県、学生)

今日はひとりで来るのが怖くて(笑)、エシカルという言葉を初めて聞く友人を連れてきたのですが、すごく影響を受けたと言ってくれてうれしかったです。シンポジウムに参加してエシカルを実践する人たちにも葛藤があるということを知りました。だからこそ、これからもエシカルについてもっと深く考えていきたいと思います。(公平さん)
自分が無意識に買っているものが人を傷つけているということにショックを受けると同時に、私の中でこれからどう生きるのかという考えが大きく変わるような気がします。(鈴木さん)

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