Report no.18 / 嗚呼!エシカル男塾

未来を作る「大人」としての責任を
Report no.18 / 嗚呼!エシカル男塾
講師:細川秀和(Lee Japan)
ゲスト:龜石太夏匡(リバースプロジェクト)、江良慶介(kurkku alternative)、辻井隆行(パタゴニア日本支社)

 学長自らが講師となり、「アパレル業界でさまざまなエシカルプロジェクトに取り組む男性陣とともに「エシカル業界に物申す」台本なしの熱いトークバトルが繰り広げられました。長ランと下駄で「エシカルファッション学園」番長に扮した細川さん、短ランの2年生龜石さん、学帽にメガネの生徒会長こと江良さんに、アメリカ留学帰りという設定のカジュアルな辻井さんが続きます。まず細川学長が「軽音楽部でパンクバンドを組んでいる(という設定)」の井上さん(Lee Japan)を檀上に呼び出します。廃棄されるはずだった鹿革を使ったスタッズ付きの革ジャン、そしてロックテイストのTシャツは実はオーガニックコットン。こんな男臭いエシカルだってありと参加者にメッセージを送ります(PHOTO1)

 「今日は台本なしですが、テーマとしては、物事を見る角度を少し変えれば、物事の本質の見え方って変わってくるのではないかということ。ひとつの考えに固執するのではなく、違う意見や方法を知り物事を多角的に見ることの大切さを考えていきたい」と細川さん。パタゴニアの日本支社長である辻井さんは「環境や資源のことを考えたら、究極的には手仕事が最もインパクトが少ないですよね。でも世界の売上規模トップクラスのアパレル企業みんなが明日から手仕事に切り替えることは現実的ではない。でも契約工場の労働環境をよくしたり、認証を受けたり、資本主義の中でできるやり方で理想に近づくことも大切なのでは。手仕事しか認めません、という頑なな態度はまた排除される人を生んでしまう。排除ではなくて共通点を探すことが大切なのでは」と語ります(PHOTO2)

 俳優の伊勢谷友介さんらとともにリバースプロジェクトを立ち上げた龜石さんは「エシカルに興味を持っている人たちは全体から見れば本当に一部。その中でよりよい未来を作るにはどうするのか。自然にエシカルを選択できるようなシステムを社会に埋め込むことが必要です。これから先の未来を作っていくのは、我々大人の選択の結果ですから」と自身の考えを表明しました。「資本主義って僕たちの祖先がよりよい物を残そうと選択を繰り返してきた結果のシステムだと思います。しかしそれが行きついてしまったのが今の状態なのでは」とサステナブルな暮らしを考えるkrukkuに立ち上げから関わる江良さんが現在の社会の問題点を指摘します(PHOTO3)

 「非エシカルなものが生まれる原因は資本主義の果ての行き過ぎた欲望だと思う。エシカルな暮らしとは欲をコントロールできている状態。エシカルを思想の問題にする風潮があるけど、そうすることで余計な対立を生んでしまっているようにも感じます」と細川さん。「現在の社会問題は二項対立では何も解決しないですね。物事はもっと複雑で一人のヒーローが物事を解決できる時代ではない」と辻井さんが続けます。今私たちが直面している問題はジグソーパズルのように一方向に向かって解決できるものではなく、さまざまな問題が複合的にある「ルービックキューブ型」だと述べ、いろんな人の意見を聞いて、さまざまな角度から問題を検討することからしか解決方法は見つからないと話しました。

 ここで話題は、パタゴニアが取り組む長崎県に建設予定の石木ダムの反対運動のことに。「問題は、計画を進めようとする側にも理屈があって、悪いと思っている意識がないのです」と辻井さんは言います。二項対立の中で、この場合は、推進側が正しい、という二者択一の判断を国がしたことで、物事がどんどん進んでいく。それもまた対立の弊害なのではないかと語りました(PHOTO4)

 これからの社会の問題解決を考える上で個人が行っていくべきことは何かという問いが細川さんからゲストに投げかけられます。龜石さんは「“知る”と“わかる”って、似ているようで大きく違うと思います。知るだけではなく、物事に関心をもって踏み込み、理解する。それこそが人を成長させてくれるはず」とコメント(PHOTO5)。江良さんは「自分で感じてみることからしか、何も始まらないのではと思います。感じたことから自然に出る行動から広げていけばいいのでは」と述べます。辻井さんは一人ひとりが問題意識に目覚めることの大切さを、改めて強調しました。最後に細川さんが「パイオニア精神を持つこと、一人ひとりがリーダーになることがとにかく第一歩。大人として、問題を先送りしないこと。先送りするなら誰かにバトンを渡すこと。そんな意識を持って暮らしていきたいと思っています」というメッセージでシンポジウムは終了(PHOTO6)。エシカルから始まり、社会問題の解決という骨太なテーマへとつながった、イベントの最後を締めくくるのにふさわしいプログラムとなりました。

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PARTICIPANT COMMENTS

三谷彩さん

三谷彩さん(杉並区、会社員)

今日は参加企業の社員として来ました。問題を解決するには、いろいろな意見があることを理解し、何が正義かを考えること。そして基本は人と人とのコミュニケーションであり、対立を生まないようにどう対話していくのか、そんな問題意識を持つことができました。

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