Report no.17 / 対話型ワークショップ「エシカルな視点をもって暮らすヒント - 日常のエシカルをみつけよう」

自分の暮らしに寄り添う「エシカル」を探そう
Report no.17 / 対話型ワークショップ「エシカルな視点をもって暮らすヒント - 日常のエシカルをみつけよう」
ゲスト:細川秀和(Lee Japan)、山口乃理夫(積水化学工業 環境・ライフラインカンパニー)、中台澄之(ナカダイ)
ファシリテーター:奥田早希子(東洋大学 PPP研究センター リサーチパートナー)

 日常生活の中で「エシカル」を実践するってどういうことだろう?ゲストと参加者が一緒になって、暮らしの中でできるエシカルな行動を考えるためのワークショップです。ゲストスピーカーは、廃棄物中間処理企業のナカダイ、プラスチック製品を核に上下水道や建築、再生可能エネルギー分野などで事業展開する積水化学工業 環境・ライフラインカンパニー、そしてファッションブランドのLee Japanを代表する3人。「それぞれの立場から考える“エシカル”を聞くことで“こんな行動ももしかしたらエシカルなのかな?”という気づきを持ち帰ってください」と、祖母の着物をリメイクしたワンピースを着たファシリテーターの奥田さんから説明がありました。

 Lee Japanの細川さんが、この3社について「まったくの異業種のように見えますが、実はきちんとつながりがあります」と説明。「大量生産の衣料ブランドにおいて廃棄処理はどうしても避けて通れない問題だし、再生ポリエステルなどリサイクル原料の利用も重要な課題。そして排水問題はさらに深刻です。ジーンズは出荷前に色を落とすために必ず洗います。かつて流行ったケミカルウォッシュは次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)に漬けた軽石をジーンズと一緒に洗う。水や薬剤を大量に使って作られていたんです。今もジーンズ1本をストーンウォッシュするのに40リットルの水が使われます」(PHOTO1)。それを受けて積水化学工業の山口さんは「水の問題を解決する方法は造水・浄化・節水・貯水の4つですが、造水以外は、普段の生活で気をつけることができます」と述べ、「例えば浄化については、皿についた油をふき取ってから洗うなどして台所から流す水をできるだけキレイにすること。一人の人間が1日に使う水の量は250リットルと言われていて、一人ひとりが排水に気をつければ浄水にかかるエネルギー負荷の軽減など、大きな効果につながります」と話しました。

 中台さんは「まず廃棄物と向き合うときにいちばん大切なのは、人の行動を否定しないことです」と述べます。「ナカダイには1日平均50トンの廃棄物が持ち込まれ、中にはまだ使えるものがたくさんあります。それらを徹底的に分別することで、廃棄物たちのリユース(再利用)の道を探るなどで埋めるまでの距離を長くすることが我々の仕事です。その際に“何でまだ使えるものを捨てるのか”と否定的に捉えるのではなく、自分たちのアイデアやコネクションを駆使してものの使い方を考え、必要としている人に届けています」。何事も否定せずに前向きに考える心構えがエシカルなのではと語りました(PHOTO2)

 山口さんは自社の下水道管路の更新事業について解説した後、「石油原料であるプラスチックは、エシカルとはほど遠いように思えるかも知れません。でも特性を生かせば、自然資本の使用を抑制することができます」と述べ、製品の使い方や視点を変えればエシカルになることもたくさんあるのでは、と会場に問いかけます(PHOTO3)

 参加者のグループセッションでは、段ボール製の大きな円、「えんたくん」を囲んで、ゲストスピーカー3人のトークを通じて初めて知った事実や驚きを互いに伝えあい、日常で実践したいエシカルを議論(PHOTO4)。各グループの代表者がその内容を発表しました。「ものの生産過程の背景をできるだけ知ろうとする努力をしていきたい。そのためには企業側の情報の透明化も大事」、「自分がいらなくなったものでも、他に欲しい人がいたら渡せるようなコミュニケーションを普段から心がける」「エシカルではないものを否定せず、できるだけ長く使う努力をしてみる」などの『エシカルアクション宣言』が語られます。

 それらを受け、「エシカルとは本来わざわざ言葉にしなくてもいいような心構えのこと。もっと気楽に実践していってほしいですね」(細川さん)、「なぜその“もの”が捨てられるのか。自分の中の捨てるという行為を、どうジャッジするかが大事だと思います」(中台さん)、「自分の良心に誠実な行いはすべてエシカルなんじゃないだろうか、個人の小さな取り組みが世界を変える大きな力になると思います」(山口さん)といったコメントがありました。

 最後に奥田さんより「エシカルを実現するために必要なのは一人のリーダーではなく一人ひとりが作り上げる日常の小さな変化。皆さんの明日からの暮らしが少し変わっていったらうれしいです」とまとめがあり、ワークショップは和やかに終了(PHOTO5)。このワークショップでは参加した3社が提供するエコバックのプレゼントや工場見学などの特典があり、イベント終了後も継続的にエシカルについて考えられる仕組みがなされていました(PHOTO6)。その点も参加した人々の今後の楽しみにつながったのではないでしょうか。

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PARTICIPANT COMMENTS

中村英彦さん、茜さん

中村英彦さん(神奈川県、会社員)、茜さん(神奈川県、大学生)

私はエシカルという言葉にはなじみがなかったのですが、皆さんの話を聞くなかで自分のこんな行動もエシカルだったのかも、と発見がありました。日常で考える姿勢を、自分も持ち続けていきたいし娘にも持っていてほしいと思います。(英彦さん)
私自身がもともとフェアトレードに興味があって、父を連れてきました。アルバイトでフェアトレード商品の販売などにも関わってきましたが、このシンポジウムではエシカルってファッションだけのことではなくて、もっと日常に取り入れられるのだという気づきがありました。(茜さん)

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