Report no.14 / Green Down Project

羽毛は100年持つサステナブルな資源
Report no.14 / Green Down Project

 これまでエシカルファッションカレッジでは、様々な講義や実習を通して何らかの気づきやエシカルな商品を「持ち帰ってもらう」ことが主でしたが、今回来場者に新たに「持ち込んでもらう」ことを呼びかけたのが、不要になった羽毛製品を回収するGreen Down Project(現在開設準備中)のコーナー。正面玄関を入ってすぐのスペースに回収箱が設置され、来場者が持参した寝具などを投入する姿が見られました(PHOTO1)

 羽毛とは、アヒルや鴨など水鳥の羽のことで、「フェザー」と呼ばれる軸のある羽と、その奥にあるタンポポの綿毛のような「ダウン」からなります。特にダウンは1羽から5~10グラムしかとれない貴重な資源で、1枚の羽毛布団には100羽近くのダウンが必要だそうです。主要原産国は中国や東欧などですが、食文化の変化や鳥インフルエンザ、衣料品への需要増加などが影響して、原料は常に品薄状態で価格が高騰しています。

 そこで、羽毛製品を捨てずに循環させる全国的なネットワークを作ろうと、今年4月にスタートしたのがGreen Down Projectです。三重県多気郡明和町に世界屈指の羽毛再生技術を誇る河田フェザーがあることから、現事務局の所在地は三重。河田フェザーでは独自に開発した技術と地元の超軟水の水、そして乾燥した気候をあわせて活用して羽毛を研ぎ洗いすることでアカやホコリをくまなく落とし、真っ白くふんわりと仕上げます(PHOTO2)。再生後の清浄度は新毛よりも厳しい自社基準を設けているので、新毛以上にきれいになるそうです。

 三重では、2011年から明和町の社会福祉協議会と障がい者サービス事業所、河田フェザーがタッグを組んで羽毛製品の回収事業を実施。翌年には「UMOUプロジェクト」が立ち上がり、廃品回収で集めた羽毛製品を障がい者サービス事業所が解体し、河田フェザーが洗浄・精製加工、羽毛製品として再生するという一連の流れが形作られていきました。当時、松阪市社会福祉協議会の職員でプロジェクトの立ち上げにかかわった長井一浩さんが、こうした羽毛の循環の輪を全国に広げ、さらに多くの関連業者や消費者を巻き込んでいこうと企画したのが、Green Down Project。現在は羽毛の洗浄業者、再生羽毛を購入・加工するアパレル、製品を販売する小売店などの協力企業を募集中だそうです。「僕はもともと社会福祉に携わってきたので、そちら側から羽毛に出合いましたが、羽毛は知れば知るほどリサイクルした方が良い資源。そのことをいろんなチャンネルの人に周知していきたい」、長井さんはそう話します(PHOTO3)

 回収箱そばにはGreen Down Projectに協力するアパレル大手の三陽商会が昨秋から販売を始めた再生羽毛のダウンコートが展示されていました(PHOTO4)。羽毛製品の寿命は一般に10年ほどと言われますが、大半は外側の生地が傷んでしまうためだそうです。鳥のくちばしと同じハードケラチンというたんぱく質でできた羽毛は、本来100年以上長持ちする資源だと言いますから、確かに「捨てたらモッタイナイ!」のです。

PHOTO1
PHOTO1

PHOTO2
PHOTO2

PHOTO3
PHOTO3

PHOTO4
PHOTO4


PARTICIPANT COMMENTS

飯田彩乃さん

飯田彩乃さん(兵庫県、会社員)

長井さんとは松阪市の社協時代から交流があり、Green Down Projectではボランティアをしています。ダウンが稀少な資源だということはかかわるまで知りませんでしたし、捨てることが環境や水鳥の負荷になることも知りませんでした。誰でも羽毛製品を使った経験はあると思うので、リサイクルに回すことが特別なことでなく、私が共感したように当然のことになるといいなと思っています。

BACK TO TOP