Report no.12 / 藍とベンガラ染ワークショップ by WORK-ER

ふんわりニットをアースカラーに染める
Report no.12 / 藍とベンガラ染ワークショップ by WORK-ER
講師:小渕裕

 ほんのり優しいアースカラーの染め物が来場者の目を楽しませていた「藍とベンガラ染ワークショップ by WORK-ER」。ベンガラの呼び名にエキゾチックな雰囲気を感じたりもしますが、実は古くから日本の暮らしに溶け込んできた素材。陶器や漆器の塗料として、また、腐食や劣化を防ぐ作用があることから、木造家屋の材に塗り込む習慣もあったそうです。塗膜が形成される現代塗料とは異なり、木材の呼吸を妨げず、何度でも上塗りできる持続可能な素材。「うちも、もともと大阪で大工や左官を手伝う手建(てだて)職人の集まりで、ベンガラを扱っていました。昔の人はみんな知っていますけど、今の大工さんは知らない人も多い」と、当日染めの先生をしていた「古色(こしょく)の美」の小渕裕さん(PHOTO1)は説明してくれました。

 古色の美は、ベンガラ塗料や染料の製造販売を長年手がけてきたナカジマが、立ち上げた泥染めブランド(PHOTO2)。ベンガラ塗りで私たちが思い起こすのは、沖縄の首里城などに塗られた趣きのある赤ですが、ナカジマではベンガラを燃焼させることで粒子の形を変えたり、乳鉢で根気強く調合することで20数色ものバリエーションを生み出すことに成功したのです。3年ほど前からベンガラ染め、藍錠染め、煤(すす)染めといった自社ブランドの天然顔料を使い、板締め絞りやインドのブロックプリントといった伝統の染め方に挑戦する古色の美ワークショップを、主に関西で開催してきました。

 今回の特別ワークショップは、会場となった世田谷ものづくり学校内にショールームを持つ和歌山県のファクトリーブランド「WORK-ER」(和田メリヤス)とのコラボとなりました。きっかけは、仕事着をテーマに新作コレクションを発表しているWORK-ERが今年3月に発表した「都市農業シリーズ」でベンガラ染めを採用したこと。ベンガラ染めがあまり知られていないことから、今回のワークショップでWORK-ERのTシャツやタオルを使ったベンガラ染めを楽しんでもらい、ベンガラについて知ってもらう機会にしようと企画されました。

 WORK-ERの母体となる和田メリヤスも、実はベンガラ染めと同じく昔ながらの手仕事を重視したスロービジネスの旗手。今や日本に500台ほどしか残っていないと言われる吊り編み機(PHOTO3)を駆使した製品作りにこだわる生地メーカーとして注目されています。1900年代初頭から日本に広がり、1960年代前半までスウェット生地の製造などに大活躍したという吊り編み機は今、業界ではほとんど姿を消し、効率の良い高速編み機にとって代わられてしまいました。しかし、1時間に1メートルしか編めない超低速編み機だからこその利点があると話すのは、生産企画を担当する萬川未来さん(PHOTO4)。「糸にストレスがかからないので、空気を含んでふんわりと仕上がります。糸が(引っ張られることがなく)本当に自分から機械に入っていく感じ。洗濯しても縮みにくく、ふっくらとした風合いが残るのが特長です」

 WORK-ERのニット生地の品質の高さと天然顔料の心地良さを同時に体感することができ、一石二鳥の楽しみが味わえたワークショップ。体験者の表情を追っていても、とても満足度の高い内容だった様子がうかがえました。「お子さんの服を自分で染めたいとか、最近は食だけでなく、衣服に関しても天然素材を使いたいという人がだいぶ増えてきましたね」と、古色の美の小渕さんも、来場者の意識の高さに手応えを感じていました。

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PARTICIPANT COMMENTS

久保田由希さん

久保田由希さん(茨城県、養護教員)

友人の知り合いがベンガラ染めをしていることを聞いてから、ずっとベンガラ染めをやりたいなと思っていました。ネットで調べたら今回たまたまここでやることを知って、数週間前から楽しみにしていました。実際にやってみて想像以上に楽しくて、良い仕上がりで、とても満足しています。染め上がりには良い意味で期待を裏切る感じもあって、そこが面白いですね。自然の土なので、染めた後に流せるし、自宅でも気軽にできそうなのでまたやってみたいです。

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