Report no.11 / 捨て方をデザインし、使い方を創造する仕事

「廃棄物=素材」が当たり前になる未来へ
Report no.11 / 捨て方をデザインし、使い方を創造する仕事
講師:福崎幸乃(ナカダイ)

 株式会社ナカダイの仕事は、「廃棄物中間処理」。持ち込まれる廃棄物のリサイクル率が約99%にも及ぶというナカダイの「多様な価値観と自由な発想で社会に貢献する」という理念と、「捨て方をデザインし、使い方を創造する会社」というコンセプトはどのように実現されているのでしょうか。イベントの企画運営や広報を行うナカダイの福崎幸乃さんが解説しました(PHOTO1)

 福崎さんは「ものの“人生”は、“ゴミ箱に捨てたとき”に終わると思われるかもしれません。でもその先には皆さんが知らない世界が広がっています。今日は廃棄物がどうやってリサイクルされたり、リユースされたりしているのか、皆さんに知っていただきたいと思います」と言います。

 ナカダイに持ち込まれた廃棄物のほとんどが、選別されて「リユース」「リサイクル」の道をたどります。リユースとは、「廃棄になったイスをそのまま使う」というように同じ使い方で再利用することを指します。またリサイクルの方法は「マテリアルリサイクル」と「サーマルリサイクル」のふたつ。マテリアルリサイクルは、例えばガラス瓶を破砕して溶かし、同じ素材の別の商品に生まれ変わらせる、つまり再資源化することを指します。そして再資源化できないものを集めて燃料化するのが「サーマルリサイクル」。リサイクルという言葉は知っていても、具体的にどういう経過を経るのかを見る機会はほとんどありません。写しだされる工場の様子に、教室からは「へえ!」と驚きの声が上がります(PHOTO2)

 リユースできるものは毎週水曜日に行われる中古品オークション「マテリアル・リバース・センター」にて販売され、リユースできないものも徹底的に分別・分解することでマテリアルとして新しい使い方の道を提案しています。品川にあるナカダイのショールーム「モノ:ファクトリー」では、鉄やアルミ材を建築家やデザイナーが素材として購入したり、美大生が作品作りに使ったり、小学生が工作や自由研究に使うなんてこともあるそう。誰かにとっては不要になったものでも、他の誰かには必要かもしれない。必要な人に届けるために、使い方のアイデアを考え、提案していくこと。それがナカダイの仕事だと福崎さんは言います。「ものの終わりとは、焼却され、埋め立てられること。私たちはこの“終わりのとき”までの時間を少しでも長くするために日々考えています」。まだ使えるものを“なんで捨てるのだろう”と否定的に考えるのではなく、使い方を考え提案することで共存の道を探すこと。「捨てる」と「使う」をつなげるのが、私たちの重要な役割だと考えていると福崎さんは続けました(PHOTO3)

 また「廃棄物=素材、という考え方が当たり前になるのが理想」と語り、「廃棄物にも土地柄があります。例えば群馬県には車の工場が多いためエアバックやシートベルトがたくさん運び込まれますし、京都に行けば着物の布地や畳のヘリが多かったりします。そんな地域ごとの特色を生かし、いずれは廃棄物にも地産地消の考えが生まれればと思います。道の駅で普通に廃棄物が売られたりするといいですね」と将来への展望を述べました。

 ゴミを出さないで生活できる人はいないからこそ、廃棄物はもっと身近なものであっていいはず。「廃棄物の面白さ」をさまざまな手段で伝えようとするナカダイの取り組みを知ることで、「捨てる」という何気ない行為の先にあるものを、深く考えさせられる講義でした(PHOTO4)

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PARTICIPANT COMMENTS

石川直道さん

石川直道さん(世田谷区、インテリアデザイナー)

店舗デザインなどの仕事をしていますが、ゼロベースでものを作るのではなく、あるものを再利用するという方向に興味が出てきています。イベントには「エシカル」の現場を知りたいと思い参加しましたが、今回の講義は自分のやりたい方向に合致した内容でした。ショールーム(モノ:ファクトリー)にもぜひ行ってみたいですね。

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