Report no.10 / 美しさに犠牲はいらない! Vol.2

社会問題をファッションで解決しよう!
Report no.10 / 美しさに犠牲はいらない! Vol.2
講師:生駒芳子

 エシカルファッションカレッジ理事長である生駒芳子さんが、昨年に引き続き講師を務めたこのプログラムのテーマは「ファッションで地球を救おう」。紛争や貧困、資源、人権など、私たちが抱えている社会問題をファッションというクリエイションで解決する方法を探っていきます。授業はエシカルファッションの歴史と、ファッション業界がどのように社会問題解決に取り組んでいるのかという解説からスタート(PHOTO1)。生駒さんは「今、ファッションの主役はデザイナーではなく消費者」と分析します。ファストファッションの台頭によって価格競争がし烈になった反動で「良いものを長く持ちたい」というクオリティの時代へと以降しつつあり、またファッション産業においても「社会への貢献」「文化への貢献」という両輪が欠かせないものになってきたとも。それらの背景の中で、ファッションの産業革命が起こるのではないかと語りました。「2世紀前に起こった産業革命は、大量生産時代へのシフトでした。しかし今ファッション産業は明らかに作りすぎ。それを正していくことがこれからの革命ではないかと考えています」。

 エシカルという言葉が広まったのは90年代、あるスポーツブランドが発展途上国の子ども達に過酷な労働条件でスニーカーを作らせていた事実が、欧米のジャーナリストによって指摘されたことがきっかけでした。「ネットの普及などによって、ファッションの裏側にあった環境問題や労働問題が表に出てきました」。児童労働の問題だけでなく、コットンの大規模農場への農薬散布、水質汚染の問題など、様々な問題が目に見えるようになってきました。「高くてもラグジュアリーブランドのものを買う人はいますよね。それはブランド名にお金を払っている。同じように社会問題の解決のために少し高いお金を出そうという風に変わっていく。21世紀のラグジュアリーとは、エシカルやフェアトレードのことだと思う」と自身の考えを述べました。かつて『マリ・クレール』の編集長として誌面で環境問題、人権問題を取り上げ、「エコリュクス」(物質的、心理的な豊かさをもちつつ、地球環境にも配慮する姿勢のこと)という言葉を作った生駒さんにとって、ファッションと社会問題は切り離せないもの。ピープル・ツリーはもちろん、「社会と密接にデザインを実現していく」ことがテーマの「132 5. ISSEY MIYAKE」、エルメスのアップサイクルへの取り組み「petit h」、不要になったデニムをリ・デザインする「TOGA ODDS&ENDS」、3Dプリンターを使ったものづくりなど様々なブランドの実例を挙げながら、時代はプロフィット・エコノミーではなくソーシャル・エコノミーへと変貌しつつあることを強調、ファッション業界の現状に、参加者は真剣に耳を傾けていました(PHOTO2)

 後半は参加者自身がブランドを作り、そのコンセプトシートを作る実習へ。生駒さんが用意したファッション誌の中から、自分が考えるコンセプトに合ったビジュアルを切り抜き、ブランド名、解決したい社会問題、取り扱う商品などのコンセプトを思い思いに考えていきます(PHOTO3)。「頭で考えるのではなく、心をフリーにして、直感で作ってください」と生駒さんからのアドバイスを受け、「伝統工芸の技法を生かしたブランド」、「高齢者の貧困解決のために、地域密着型のブランドを作りたい」、「愛をテーマにしたものづくりがしたい!」など、様々なアイデアが参加者から飛び出します(PHOTO4)。短い時間ながら、練り上げられたコンセプトに会場からは大きな拍手が贈られていました。「ファッションという大きな産業において、エシカルなクリエイションが主流になれば、社会問題解決の大きな一歩になるはず。皆さんも、“かっこいいエシカル”について日々考えることから、問題解決の糸口を探ってみてくださいね」という生駒さんのメッセージで、白熱した授業は幕を閉じました。

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PARTICIPANT COMMENTS

猪岡愛佳さん

猪岡愛佳さん(静岡県、フェアトレードブランド「JOËL」代表)

今回の授業は、エシカルの定義が分かるだけでなく、エシカルの最先端で今何が起きているのかが見えて非常に勉強になりました!私もエシカルに取り組む人間のひとりとして、生駒さんのような先人の存在はとても励みになります。

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